レッド・メモリアル Episode14 第1章



4月12日 8:12P.M.
『ジュール連邦』《ボルベルブイリ》ボルベルブイリ総合病院


 セルゲイ・ストロフが《アルタイブルグ記念病院》から救出された、ミッシェル・ロックハートに出
会えたのは、その日の夜も更けかかっている頃だった。
 病院は既に面会時間を過ぎていたが、戦争さえも起こっている有事の際に、政府の人間が
やって来たとなれば、面会を断るわけにはいかないだろう。医師達はミッシェル・ロックハートに
会う事を快諾した。
 彼女はベロボグの病院にいた人物。そして、娘のアリエルは拉致され、彼女自身もベロボグ
達に拉致されていた。
 何かを知っているはずだ。ベロボグ達の計画に加担したとは思えないが、拷問を続けられて
いるベロボグの娘、シャーリが何も吐いていない以上、彼女に尋問するしかない。
 とはいえ、容疑者ではなくテロにも加担していない被害者なのだから、ストロフも手荒な事は
出来なかった。
 例えミッシェルがストロフ達に対して、非協力的な態度を取ったとしても同じ事だった。
「ベロボグ・チェルノはテロリスト。この戦争を陰で起こした人物。そして、私と、私の娘を拉致し
て、私からの脳移植を自分にしようとした人物よ。それだけあなた達も分かっていれば、十分
なんじゃないかしら?」
 ミッシェルは頭に包帯を巻いたまま、紙コップの中の水を飲んでいた。脳移植を無理矢理さ
せられた彼女は、ベッドの上にいる。本当は絶対安静なのだそうだ。
 頭に穴を開けられ、脳の一部を取られている。彼女自身の肉体に障害は出ていないそうだ
が、何とも残酷な真似をベロボグはしたものだと思った。
 同情はストロフも感じていた。しかし、今は戦争が起こっているときなのだ。この《ボルベルブ
イリ》まで『WNUA』軍が攻め込んでくれば、戦火は首都にまで及ぶ。
 そうなってしまったら、この国は滅びるだろう。
「我々も、ベロボグ・チェルノがテロリストであると言う事は断定しています。彼が戦争を起こし
たと言う事も明白です。ですが、ベロボグは死ぬ前に多くの計画を立てていました。戦争はそ
の計画の第一段階に過ぎないと思われています。彼は、更なる攻撃を仕掛けてくるでしょう。
 ベロボグは死を覚悟していた。彼の仲間のテロリスト達が、何かを画策しています。あなたは
ベロボグを知っていて、しかも彼に最も近づいた人物の一人。何かを知っていると私は思って
います」
 だが、ミッシェルはストロフ達をさっさと追い払いたいように言って来た。
「残念だけど、私は何も知らないわよ。それよりも私の娘がどうなったかを知りたいわ」
 ミッシェルにとっては何よりも自分の娘が大切らしい。
「『WNUA』側に身柄を保護されているらしく、我々は何も知りません」
 そうすると、ミッシェルは曇り空の広がる窓の外を見たまま、黙ってしまうのだった。その顔に
はどことなく失望の色が浮かんでいる。
 娘をベロボグ達に拉致された上、今ではこの国の敵対勢力に身柄を拘束されているのだ。
取り乱したり、騒ぎ立てないだけましだ。
 このミッシェルの経歴によれば、元、『ユリウス帝国』の将校だったとある。筋金入りの軍人で
もあるわけだ。今でもその面影がどことなくある。このような状況下にあるにも関わらず落ちつ
いている。並の女ではないと言う事だ。何かを知っていたとしても、口を割らせるのは難しい。
「何か、あなたが、ベロボグ達の情報を知っていれば、この戦争の中に活路を見出す事ができ
ます。我が国は劣勢だ。ベロボグが何らかの計画を練っているのであれば、それは我々の国
を更に追い詰める事になる」
 ストロフは堂々たる口調でそのように言った。
 ミッシェルほどの元将校を落としこむのは難しい。だが、彼女が果たしてベロボグの計画につ
いて知っているのだろうか。
 やはり、ベロボグの娘、シャーリを拷問をしてでも口を割らせるしかないのだろうか。
 ストロフは追い詰められていたが、この無実の女性を拷問するわけにはいかない。
「失礼しました。また何かありましたら、事情を伺う事があるかもしれません」
 彼はそのように言うと、ミッシェルのいる病室から出て行こうとした。その時、彼の携帯電話
のバイブレーションが震えた。
 病院内だが電源は切っていない。この非常時、緊急連絡が入るかもしれない以上は、携帯
電話を切ってなどいられない。
「ああ私だ。何だ?」
 追い詰められているストロフは、苛立った声でそう答えた。
 ミッシェルの病室を部下達と出て、ストロフは相手の声に耳を向けた。
 それは国家安全保安局本部にいる、彼の部下の情報分析担当だった。
「先ほど、『WNUA』軍側の通信を傍受していて判明したのですが、《アルタイブルグ》の病院跡
から、ベロボグらしき人物が、子供を抱えて飛び去って逃げたそうです」
 その言葉に、ストロフは思わず声を上げた。
「何?ベロボグが?奴は空爆で死んだんじゃあないのか!」
 病院の廊下に響き渡る声。廊下にいた何人かの人物達がこちら側を向いてくる。まずいと思
ったストロフは、声を潜めることにした。
「遺体はまだ発見されていません。飛び去ったのが、ベロボグかどうかもはっきりとは分かって
いませんが、『WNUA』側は、その人物はベロボグであるとして動き出しています」
 事態が悪い方向に進んでいる事をストロフは痛感する。そして言い放った。
「そうか。ベロボグ・チェルノめ。やってくれたな。死んだと思わせていたか。これは余計に厄介
になるぞ。『WNUA』の動向を絶えず張っていろ。首都に対してのテロ攻撃の可能性もある。
首都の防備をより強化しろ」
「了解」
 その言葉を最後に、ストロフは電話の通話を切った。そして、すかさずミッシェルのいる病院
の扉を開け、中にいる彼女に言い放った
「ミッシェル・ロックハートさん。悪い知らせだ。ベロボグは生きていた。あなたの身柄を狙いに
来るかもしれない。あなたに保護を付けさせてもらう」
 ミッシェルは特に驚いたような様子も見せない。まるでベロボグが生きていた事を知っていた
かのようだ。
「それは、厄介な事になったわね。だけれども、奴は私にもう用はないはずだから、狙われると
したらアリエルの方だわ。保護を付けてもらうなら、アリエルにつけてもらいたいものよ」
 ミッシェルはそう言うと、全てを受け入れているかのように、ストロフから目線をそらせた。
「面倒な事になった。本部に戻るぞ。お前はここに残って、他の奴の到着を待て」
 ストロフはそのように言い、部下をミッシェルの病室に残して、大急ぎで国家安全保安局に戻
る事にした。


4月12日 9:13P.M.
《クラスノトーチカ操作場跡》


 リーという男を初めとする、謎の連中と同行する事になったアリエル・アルンツェンは4輪駆動
の車に乗せられ、針葉樹林地帯を走り、ある開けた土地へと出ようとしていた。
 道中、車の中の男達は押し黙っており、アリエルに口出しをさせるような空気を作らなかっ
た。しかもアリエルにとっては、車の中にいる3人の内、2人は異人種の男なのだから、上手く
言葉が通じるかどうかも不安だった。
「何?何だと?ベロボグが生きていた?」
 助手席に座っている、タカフミという男が、電話越しに何やら言っている。彼の話している言
葉が分からないアリエルではあったけれども、“ベロボグ”という言葉だけは理解できた。
 自分の父が一体どうしたと言うのだろう。
「どうした?タカフミ?それは本当か?」
 リーが後部座席から身を乗り出す。タカフミは彼の言葉を制止して電話を続ける。
「あ、ああ、分かっている。となると、早くそこに連れていった方が良いな。お前達は、ベロボグ
を追え。『WNUA』よりも早く動いておきたい」
 と、タカフミは言い、電話を切るのだった。
 そして後部座席へと身を乗り出してきて、リーと顔を突き合わせて話すのだった。
「あ、ああ、『WNUA』が動いているか。しかし厄介だな。奴が死ねば、奴のテロリストは多少は
混乱して、計画が遅れると思っていたが、生きているとなると話は違う。奴の組織は、必ず次に
何かを仕掛けてくる」
 リーとタカフミが口早に話している。言葉がとても聞き取れないアリエルは、思いきってリーに
向かって言った。
「あの、何を慌ただしく話しているんです?」
 言葉の通じるリーの方に向かって、アリエルはジュール語で話しかけた。
「悪い知らせか、良い知らせか。君のお父さん、ベロボグ・チェルノが生きていたそうだ。逃亡
し、行方は分かっていない」
 すると、リーがジュール語でアリエルに話す。アリエルは嫌な予感が的中した事に顔色を大き
く変えた。
「えっ。でも、確かに死んだって」
 彼女にとってはどう反応したら良いのかが分からなかった。
 父親が生きていると言われればそれは嬉しいものだ。しかし、アリエルにとってあの男が本
当に父親であると言う事がまだ認識できていない。それに、アリエルにとってみれば、彼は自
分を拉致したテロリストなのだ。
 生きているとしても、それはアリエルにとって恐怖でしかない。
 タカフミは言葉を続けた。
「死体は発見されていない。奴がただ逃げたとも思えない。ベロボグは必ず自分の組織を動か
して、また攻撃を仕掛けてくるだろう。先が見えなくなったな」
 彼の言った別の言語がアリエルには理解できなかったけれども、とにかく良くない事だろうこ
とは分かった。
 車はそれから20分ほども森林の中を走行していき、やがてどこかへと辿り着いた。
 針葉樹林の先に見えるのは、広い土地だった。所々に朽ち果てた倉庫くらいの広さの建物
があり、貨物コンテナのようなものも見える。
 男達はその土地の少し前で車を止めさせ、何かを伺っているようだった。先ほど、タカフミ・ワ
タナベと名乗った男は、自分の手元に光学画面を設置させ、そこに地図のようなものを表示さ
せたまま、数分間見守っていた。
「あ、何をしているんですか?」
 アリエルは、上手く通じるかも分からない、『ジュール連邦』の言葉でタカフミに向かってその
ように尋ねた。
「衛星が行ってしまうのを待っている。今、この地域も、『WNUA』軍の監視下にあるんだ。
我々は誰にも知られないように、アジトの中に入らなければならない」
 タカフミはアリエルの方をわざわざ向いてきてそのように尋ねた。
「はあ、衛星、ですか?」
 アリエルが半分納得したと言う様子を見せると、タカフミは何かに反応し、運転手に向かって
言った。
「よし、いいぞ。衛星は行った。今、この地域は誰にも監視されていない」
 タカフミはタレス語でそのように運転手の男に言った。タレス語はアリエルは学校で勉強して
多少なりとも話す事ができるが、衛星、という言葉と監視という言葉が分からなかった。
 車はゆっくりと、まるで何かを伺うかのようにして森林にある道から姿を露わした。広い土地
が森林の中に広がっている。
 白夜が続く『ジュール連邦』でも、さすがに夜10時が近づけば夜も暗くなってくる。アリエルが
段々と夜の闇に覆われていくその広い土地を見回したら、所々に線路が何本も敷かれている
のが見えた。更に、貨物コンテナだと思ったのは、どうやら朽ちた貨車であるらしい。誰にも利
用されないまま野放しにされている。
 ここは貨物列車の、それも伐採した材木を運ぶために設けられた操作場だったようだ。だ
が、今、誰かが使っていると言う気配は無い。倉庫も操作場も線路も朽ちており、誰からも見
放されてしまっているかのようだった。その姿は不気味な光景にさえも見える。
「こんな所に、あなた方のアジトが?」
 アリエルはその操作場を進んで行く車の中でそう尋ねた。
「そうだ。誰にも気が付かれない。それでも、最大限の注意は払っている。監視カメラがそこら
中に隠してあるし、周囲にはセンサーも張ってあるんだ」
 今度、そう答えてきたのはリーだった。彼は、じっと車の前方を見つめている。今だに周囲に
警戒を払っているかのようにも見える。
 やがて車はある倉庫の中に入りそこに停止した。中に線路が走っている倉庫で、ここは元々
は機関車を入れておく機関庫であったらしい。
 機関庫の奥には、貨車が一台置かれていた。他にも乱雑に貨車が置かれており、すでに錆
びや損傷が激しい状態となってしまっていた。
 別に、『ジュール連邦』ではこのような有様となった施設は珍しくない。材木を伐採している業
者が倒産し、まだ伐採でき、利用できる材木は沢山あると言うのに、鉄道の利用権も失ってし
まった。そんなところだろう。
「ああ、俺だ。すぐに開けてくれ。大切な客人が来たんだ」
 タカフミは今度は耳に押し当てた携帯電話を使い、誰かと連絡をとっていた。すると、倉庫内
に響き渡るがらがらという耳障りな音と共に、最も奥にあった貨車の扉が開いた。貨車からは
光が溢れており、外見は朽ち果てた貨車にしか見えないのに、中には照明が取り付けられて
いるようだった。
 アリエルが驚いたような目を向けていると、タカフミは彼女を先導した。
「心配する事はない。君は客人としてもてなすさ」
 タカフミはそう言ったものの、アリエルは目の前に広がる怪しげな施設にとても不安を隠す事
は出来なかった。
 4人が乗り込むと、音を立てながら貨車の扉が閉まっていく。アリエルが貨車の中を見上げて
いると、4人が入った大きなボックスはエレベーターとして下に降下しているようだった。
 ある地点まで降りてくると、エレベーターは左右にその扉を開いた。するとそこには廊下が現
れる。地下に設けられた施設は、日の光を入れず、中の照明だけの灯りがある。
 タカフミが真っ先にエレベーターを降り、直線の通路を歩き始めた。リーがそれに続き、アリ
エルも続く。運転手の男は最後についてきた。
 廊下を何人かの人物たちとすれ違う。彼らは書類を持ち、足早に移動していた。この『ジュー
ル連邦』の人種もいれば、そうでない人種もいる。多国籍の世界が展開しているなとアリエル
が伺っていると、やがて彼らは、眼下に広がる大きな施設のテラスの部分に出た。
 2階ほどの高さの吹き抜けになっており、工場ほどの施設がそこに展開している。巨大な光
学モニターが現れており、階下にいる人々は皆コンピュータを操ったり、せわしなく書類を持っ
て移動したりしていた。
 アリエルが姿を見せると、何人かの人物がテラスを見上げてくる。まるで彼女を知っている。
そしてここに来る事を待っていたかのようだ。
「何故、こんな施設を?」
 アリエルが突然の世界の変貌に思わず声を上げている。今まで自分の目の前には、棄てら
れた列車の操作場や錆び付いた貨車など、墓場にも似た風景しか無かった。しかし、今目の
前に展開している光景は、それとはまったく異なる世界だ。
 階下に設けられている設備、光学画面や、コンピュータ機器は明らかに西側の世界のもの
ばかりである。ここは『ジュール連邦』ではない。まだ子供でしかないアリエルが見てもはっきり
と分かるほどの世界の違いだった。
「ここで、世界を管理している。この拠点は、『ジュール連邦』の首都拠点だ。だけど《ボルベル
ブイリ》はこの国の政府の監視が厳しくてな、これだけの機材を持ち込めなかった。だから、わ
ざわざこの操作場の持ち主の会社を、匿名で買収してな」
 タカフミは何やら言葉を並べ立てている。別にアリエルはそんな事を聞きたいわけではなかっ
たが、彼はどうも得意げにそれを語りたいらしい。
「タカフミ。彼女が聞きたいのはそんな事じゃあない」
 リーがそんな彼を制止するかのようにそう言った。
「おっと、失礼。だが俺達が秘密の組織でありながら、世界規模の影響力を持っていて、この
世界をより良い方向へと進めようとしている。と言う事は分かってほしい」
 タカフミはそのように言ったが、
「それで、何故、私があなた達に必要で、私はここにやって来なければならなかったんです。き
ちんと説明して下さい」
 アリエルははっきりとそう言った。その彼女の態度に少しタカフミは面食らったようだが、やが
て答えてきた。
「ああ、説明するとも。だが長い話になる。リーも色々と疲れただろう。俺の部屋へとどうぞ。熱
いコーヒーでも出そう」
 そう言って、タカフミはアリエルを招くのだった。



「何であいつらが、墓場見たいな操作場に入ったきり、出て来ないのよ」
 セリアの苛立ったような声が車の中に響く。フェイリンは彼女のその言葉を何度も聞いていた
が、もういい加減慣れたものだった。
 フェイリンは双眼鏡を使って、舗装された道路からずっと遠くの森林の向こうにある操作場を
見つめている。森林に遮られていて、本来は見えないはずだったが、フェイリンの眼は特別
で、森林をも透過して見る事ができる『能力者』だった。
 フェイリンの眼はそれだけではない。
「やっぱり、ここあちこちに監視装置が備え付けられている。地面にはセンサーも埋め込まれ
ているみたい。あの操作場を中心にして、1kmぐらいの周囲に防衛システムが張り巡らされて
いるわ」
 フェイリンの眼は、そうした監視装置をも見抜ける。どのようなものでも、視力の範囲内なら
ば透過できる。それだけではなく、彼女は眼で捕らえる光の波長を調節し、見えないセンサー
なども全て見て取れる事ができる。
 フェイリンが捕らえたセンサーは、柵のように森の木々の間に張り巡らされている。それは高
い塀のようなもので、通り抜ければどこかへと警報が行く。そういう仕組みだ。
「『ジュール連邦』の軍の秘密基地とは思えないわ。ここには防衛システムばかりで兵士の見
張りもいない。それに奴らがわざわざ隠れて秘密基地を作ると言う理由も無い。リーは一体、
何をしようとしているの」
「さあ、そんな事はわたしに言われても…」
 フェイリンはそのように言いながら、双眼鏡を下に向けていった。
「ちょっと、地中の中に地下施設って言うのかしら。地下室みたいなものが広がっているわ。あ
の操作場の規模とちょうど同じくらいで、地下施設が広がっている」
 フェイリンが声を上げた。
 すると、セリアはフェイリンが『WNUA』軍の基地から持ち出してきたコンピュータデッキを持
ち出し、それを使ってある場所にアクセスしようとした。
「一体、何だって言うのよ、リー・トルーマン。あなたは『タレス公国』軍の一員じゃなかったの?
 あなたの正体を暴くのは、手間取りそうね」
 セリアはそう言いつつ、コンピュータデッキを使いネットワークにアクセスをしている。
「軍に連絡をとって、応援でもよこしてもらうの?」
 とフェイリンは尋ねるが、
「まさか。軍をよこしたら、あいつら、大群で来るわよ。そうしたら、絶対にリー達にバレる。ここ
に秘密基地を作った連中は、どうせそうした事に対処をするでしょうから、軍にはまだ連絡をし
ないわ。
 この操作場の土地を買って、秘密基地を作るには金がかかる。絶対どこかに記録が残って
いるはずよ、フェイリン。あなたなら探れるでしょ。『ジュール連邦』の土地売買の会社やら、建
設会社に片っ端から当たって、奴らの正体を突き止めるのよ」
 そうフェイリンに言って来たセリアの眼は、不思議な闘志に燃えているかのようだった。
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